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SFセミナー参加報告

さて、本当は当日に更新するつもりが6時間も爆睡してしまったので、こんな時間の更新となってしまいました(自分の馬鹿!)。



では先ずは、SFセミナー本会を目録に沿って、感想を少しずつ。


1、『上田早夕里さんインタビュー』


出演:上田早百合 聞き手:小谷真理


作家の上田早夕里先生に作品の傾向やイマジネーションの源泉について、SF評論家の小谷真理さんが対談形式を取ってインタビューしていくという形でした。

実は私、上田先生の著書を一冊も読んだ事が無く、セミナー当日までお名前すら知らなかったのです(申し訳ない……)。
と、いうのも、私は拾い読みが嫌いな性質で、もうほとんど生まれた時からひたすらSFを読み続けてはいるのですが、いかんせん全部読もうとしてしまう所為で未だに古典SFから抜け出せていないのです。

そんな僕ですが、これからは古典も読みつつ、新しい作家さんの作品も傑作選などを指標にして読んで行こうと決意した矢先でしたので、このインタビューでは上田先生の作品の魅力を語って貰えて非常に参考になりました。

まったく作品を知らない状態で拝聴していた対談でしたが、生命工学SFやら海洋SFやらと聞いて血が滾って参りました。

海洋SFと言うことで、対談の中では田中光二さんの作品に言及されていましたが、残念ながら新・太平洋戦記シリーズを小学生の時に読んだくらいだったのでちょっと分かりませんでした。

ただ、私が海洋SFと生命工学を合わせた日本の傑作として思い浮かぶのは、阿部公房の『第四間氷期』で、これは近いうちに地球の陸地が全て海の底に沈む事を知った科学者たちが人間の遺伝子を改造して、人魚を作り出し、陸地が消えた後は僅かに生き残った人間たちは人魚たちに保護されて生きる、という内容なのですが、これがまた素晴らしい。私が阿部公房を日本最高のSF作家の一人と確信している事もこの作品に依る部分が大きいくらいです。

個人的には印象的だったのは、上田先生が昆虫と海月の話をしてる時の様子でした。もう相当お好きなようで、相手の興味なんて関係なく楽しそうに喋ってらしたので、本当に好きなんだなぁ、と思ってしまいました。

私はもっとその趣味趣向の話を聞きたかったのですけれど、小谷さんはあまり興味が無いのか若干引き気味で聞いらっしゃったのも面白かったです。

とにかく、自分の好きな事を小説にしてらっしゃる感じが凄い伝わってきて、著作を読んだことの無い私もファンになってしまいました。今度、早速著作をお読みしたいと思います。



2、『乱視読者の出張講義―ジーン・ウルフ編』


出演:若島正


次の時間は、京大の若島正教授による事前情報の無いテクストの精読・理解の講義だったのですが、これがまた面白い。

今回はジーン・ウルフの『Bibliomen~Twenty-two Characters in search of a book~』という短編集の中の『Sir Gabriel』という短編のテクストを使用しての講義でした。

正直、最初に一ページ分の英語のテクストが配られた際に、普段洋書は辞書を引き引きようやく読んでいる私の事ですから、「ありゃあ、これは無理っぽい」と勝手に諦めムードに入っていたのですが、とりあえず読んでみると、幾つか分からない単語があったものの、アーサー王と円卓の騎士出てきた→サー・ゲイブリエルが主人公→何だか奥さんが出てきて現代になったぞ?→ハリー・アップドーフが亡くなった、くらいに死ぬほど大雑把には理解出来たので、とりあえず講義を聴きながら読み進める事が出来ました。

講義の中で若島先生が繰り返し言われていたのが、前評判のように一般的と言われる評価に左右されるのではなく、予備知識無く初めて読み解く事が本当の読書経験になるという事で、これは非常に納得できました。
私自身、出来るだけマイナーな作品を読む事を好むので、こういう読書経験をする機会は多そうなので、今回の講義は為になったと思えます。

この短編については詳しくは説明を省くので、この記事を読まれた方も予備知識無しに精読を行ってみる事をお勧めします。
一応、簡単なヒントを指標を示しておくなら、この作品には「現実的解釈」と「超現実的解釈」の二通りの解釈が可能であるという事です(若島教授の受け売り)。

ジーン・ウルフの作品には、自己言及のパラドックスを利用した作品が多くみられるという事も聞き、そういったタイプのSFが大好きな私は、ぶつぶつと独り言を唱えながら、にやにやしておりました。

ちなみに私、お勧めの自己言及パラドックスをギミックに利用した作品では、フィリップ・K・ディック『ユービック』や阿部公房『人間そっくり』、スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』があります。まあ、レムの”ソラリス~”だと、パラドックスがメインテーマでは無いので、ちょっと安易な方法で解決されてしまうのですが、どの作品も現代SFの傑作作品ですので、是非読んでみる事をお勧めします。

また、その後は教授の専門であるナボコフの話がちらっと出たり(私もナボコフ大好きなので、ちょっと興奮)、ジーン・ウルフの他の作品『デス博士の島その他の物語 (翻訳)』の話などを聞いて、普段ジーン・ウルフをあまり読まない私もジーン・ウルフの沢山の魅力を紹介してもらった形で、大変満足でした。

恐らく同じ内容の講義を大学でも行っておられるはずなので、興味のある方はヤングアイランド教授(講義を聞けば意味が分かるかも)の講義を聴きに京都大学まで遠征してみてはいかがでしょうか?

私もちょっと京都大学までのこのこ講義に潜り込みに行きたくなってしまいました。



3、『ミリタリーSFの現在』


出演:堺三保、岡部いさく


私が一番興奮してしまったのが、このミリタリーSFの現在という講演でした。出演のお二人がミリタリーSFについて古典から簡単に紹介しつつ、語るという内容なのですが、愉快痛快、同じミリタリーSFファンとして大いに爆笑させて頂きました。

私はミリタリSFが登場する前のスペオペもかなり読んでいるので(スターウルフ、レンズマン等)遡ったそういう話が出るだけで大興奮。

ミリタリーSFは言ってしまえば、中身はほとんど無くテンプレの熱い展開やマニアックなネタを楽しむ物とまで言い切る場面が多くありましたが、ファンとしてもその言には反論のしようもありません。

ただ、最近のミリタリーSFでは『老人と宇宙(そら)』シリーズはSFとしても骨太な物に仕上がっている事はお二人とも認めて下さっていたので、同シリーズの親子揃ってのファンとしては嬉しい限りでした。

あとは、ジャック・キャンベル『彷徨える艦隊』がお二人とも中々お気に入りでらっしゃるようで、貶しながらも楽しそうに語っておられました。

でも確かに、現代SFで上げられてた作品だと『老人と宇宙』シリーズを除けば一番面白いのは確かです(完全に私の独善ですが)。

しかも、イラストは寺田克也氏なので、内容にまったく興味がなくても(えっ!?)買う価値はあります。

他にも、何故ミリタリーSFが勃興しているのかについても、STやSWの終了(スタトレは絶対にオワコンじゃない!!!と、トレッキーとして力説)に伴う大量のノベライズ作家の余剰に求めたり、なかなか参考になる内容でした。

でも、『エンダーのゲーム』がミリタリーSFから外れるなら、『宇宙の戦士』や『老人と宇宙』もじゃね、とかツッコミたくなる私でしたが、そこは堺氏の判断なのでとりあえず理解はしておきます。

『宇宙の戦士』の本当に面白い所は、ジョニーとデュボア退役中佐の道徳哲学の話ですからね!(超力説)。なんと言っても、小学生の時に読んで影響を受けた子供が大学は哲学科に進学するくらいですから!(自分語り)。

他にも、ハンドアウトで紹介されてる作品はほぼ全部読んでるか積読かの私ですけど、90年代SFで紹介されている<スコーリア戦史>シリーズもまたちょっと毛色の違った作品ですね。

<スコーリア戦史>はストーリーは女性らしいロマンスメインのちょっとHな話なんですけど(これもやっぱりマセガキだった小学生の頃嵌まった)、作者が科学物理学の博士号と物理学の修士号を持っていて、しかも現在は研究機関の長をやっているというバリバリ現役の方なので、マジな理論を(工学的にはともかく理論的には可能が光速の縛りを脱する理論とか!)採用してその説明なんかも入ってくるのでハードなガチSF好きな方にも楽しめる内容となっております。

と、こんなに自分の好きな作品を熱く語りたくなってしまうような、素晴らしい講演でした(ミリタリーSFファンにとってはw)。



4、『SF Prologue Wave』発進!


出演:八杉将司、片理誠、YOUCHAN、高槻真樹、井上雅彦、増田まもる、小浜徹也 司会:大森望


中々、勢いのある題の新企画のお披露目でしたが、内容はちょっとアレでした(いきなり)。

初めのうちは、希望に満ちた(?)抱負のような事を語ってらっしゃった主催者の皆さんでしたが、司会の大森さんを初めとした出版関係者の厳しい視点からの意見に後半はぐだぐだ、かなり見ていて痛々しい感じでした。

まあ、かなりの正論を含む追及だった訳ですが、見ているファンの方は既に分かり切った業界の先細りの状況など耳も目も背けたい事柄なので、三分の一くらいの方々が睡眠モードに……。

檀上ではそれなりに激論が交わされていて、真剣に聞いてみれば中々為になる内容だったのですが、正直真面目に聞いていた私も「そんな事分かってるけど、聞きたくなかったよ……」って感じでした。

まあ何はともあれ、SFPW(語呂悪いな)の皆さんには頑張って業界を盛り上げていって欲しいです。という訳で下にURLを載せておきます!


http://prologuewave.com/


皆さんアクセスしときましょう。



と、今回が初参加のSFセミナーをこんな無駄に長い記事を書いてしまうほど、堪能しつくしてきました。

次回は、合宿にも参加したいと思うので一つには収まりきらないかも!?

次の更新は、SFファン交流会後になるかなー、と思います。

ここまで長文を読んで下さった方は有難う御座いました!

これからの法政大学SF・幻想文学研究会にご注目あれ!!
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